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【千葉】

下総玩具 郷愁誘う深い味わい 故松本節太郎さん作、我孫子であすから展示会

張り子や首人形など、ユーモラスな味わいがある下総玩具

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 粘土や和紙で手作りした「下総玩具」の展示会が6日、我孫子市のあびこ市民プラザ・ギャラリーで始まる。2004年に101歳で永眠した作者の故松本節太郎(せつたろう)さんが、世に送り出した人形や張り子はユーモラスな雰囲気を漂わせ、郷愁をいざなう。 (堀場達)

 柏市で画廊を営み、生前の松本さんと親交のあった鈴木昇さん(70)が企画した。展示されるのは、張り子の動物や、素焼きした土製の人形の顔を束ねた「首人形」など、約千点。粘土を工房の裏山で採ったり、白に色付けする顔料をハマグリの殻をすりつぶしてこしらえたりしたほか、接着剤のニカワを鍋で煮るなど、松本さんは身の回りで、作品の材料をまかなっていたという。

 松本さんは終戦の年、住んでいた東京・葛飾を空襲で焼け出されて、柏に疎開。生計を立てるために、玩具づくりを始めた。当初は寺社の境内を回って売り歩いた。その後、郷土玩具特有の味わいへの評価が高まり、百貨店で作品が紹介されるようになった。同市根戸に工房を構え、作品を下総玩具と称した。

 作品には、それぞれ名を付けた。首人形の「日本の神」は、山の神や田の神など、三十三の神々が顔をそろえ、「水戸街道」は水戸黄門、助さん格さんら五人の道中をイメージした。張り子の「手賀沼の牛」は、角の大きさが特徴的で、柏の伝説を題材にした。

 鈴木さんによると、松本さんは最晩年まで、玩具づくりを続けた。遺作の「雨垂れ」は、粘土を手びねりして、小さな円すい形に固めて野焼きし、穴にひもを通して、数珠つなぎにした。松本さんは「水滴が軒先から落ちて、土に返るまでが人生」と話していたといい、鈴木さんは「生涯を例えた作品。ほかの作品も、今ではほとんど見られなくなった郷土玩具の魅力を伝えている」と来場を呼び掛ける。

 最後の浮世絵師と呼ばれる川瀬巴水が描いた御所人形の木版画の紹介や、鈴木さんの講演もある。十一日まで、入場料五百円。午前十時〜午後六時(初日は午後一時から、最終日は午後四時まで)。

在りし日の松本さん=2003年、柏市で(鈴木さん提供)

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