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【千葉】

館山の小林病院「まるで野戦病院」 台風15号で停電、断水に猛暑

台風15号の影響で停電が続いた小林病院=9月24日、館山市で

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 台風15号の影響により県内では最大約七十の医療機関が停電し、窮地に陥った。停電と断水に加え連日の猛暑−。県は当初、被災状況の把握すらできず、支援は遅れた。復旧まで五日を要した館山市の小林病院の関係者は「まるで野戦病院のようだった」と当時の様子を語った。

 台風通過後の九月九日朝、病院に向かった看護師長鈴木久美子さん(50)は、消えた信号や倒木を見て「ただならぬことが起きた」と思った。到着すると、窓ガラスは割れ、床は水浸し。窓際の患者は、夜勤者がベッドごと廊下に避難させていた。

 病院は午前一時ごろから停電。最高齢百七歳の患者をはじめ約九十人が入院していた。職員の多くも被災していたが、もう一人の看護師長池田久美子さん(61)は「倒木を切るなどして頑張って駆け付けてくれた」と話す。

 たんの吸引器など最低限の機器は自家発電で動かしたが、蛍光灯はつかずランタンを頼りに点滴を打った。水をくみ上げるポンプは止まり、水は給水車から運んだ。

 館山市内の最高気温は九〜十一日、三二度台となった。大型扇風機二台を廊下に置き、患者の見回りを増やした。看護師らは首にタオルを巻き、Tシャツ姿で奔走。保冷剤やスポーツドリンクを配ったが、発熱する患者が相次いだ。

 食事は缶詰などの備蓄品。患者はランタンを置いた部屋の真ん中に集まって食べた。表情は硬く、不穏な空気が漂う。十一日夕に大型発電機が届いたが、通常の半分程度の電力しか賄えず、部屋ごとに時間を区切り冷房を使った。電源車は道幅が狭く、入れなかった。

 鈴木さんは「暗くて顔色も見えずナースコールも鳴らない。体力的にもギリギリだった」と振り返る。

 電気が復旧したのは十四日昼。久しぶりに風呂に入り、患者は安堵(あんど)の表情を浮かべたが、今度は鈴木さん自身が体調を崩した。「被災直後は気が張っていたのでしょう」

 病院は来年以降、病棟の新築を予定している。小原三千郎事務局長は「ソーラーパネルの導入など電気について真剣に考える。こんな経験は二度としたくない」と話した。

 

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