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【千葉】

介護現場の実態、本に 県内の女性が執筆 「労働者視点」改善案も

「介護職のリアルと突破口」を手にする白井徹哉書記長=千葉市で

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 重労働で低賃金、慢性的な人手不足の職場−と評されることが多い介護現場の実態を描いた、「介護職のリアルと突破口」(A5判、百十七ページ)が出版された。福祉施設で働く女性が、労働者の視点で体験し感じたことや問題点を告発した。「介護の仕事は、緊張とストレスの毎日」であることを詳述しながら、利用する高齢者から喜ばれ、働きやすい職場になるようにと願い、筆を進めたという。 (保母哲)

 筆者は県内在住の、あらかんさん(67)=仮名。著書でも働いたお泊まりデイサービス、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどの名称は明記しておらず、仮名での出版は「関係者・施設などに迷惑を掛けないため」としている。

 あらかんさんは五十九歳のとき、ヘルパー資格を取得し、パートとして福祉施設で働き始めた。現場での問題を知ってもらおうと二〇一二年から昨年夏まで、ちば合同労働組合(千葉市)が毎月一回発行する会報に寄稿。今回の出版では、その寄稿文をまとめるなどした。

 著書では利用者の送迎や掃除・洗濯、食事作りと配膳・介助、口腔(こうくう)体操、排せつ介助、連絡ノートへの記入といった仕事の様子を紹介した。しかし、職員の人手不足などで「分刻みでへとへとになるまで働いても、その仕事は利用者に伝わらない」と現状を報告。「労働条件が悪いと、その仕事に誇りを持つことができず、投げやりになる。しかし、質の落ちた労働に未来はない」とつづった。

 職員の勝手な都合で劣悪なサービスにつながっていることも挙げながら、「(利用する高齢者が)ないがしろにされてたり、自由を奪われている」とも告発。介護は肉体労働だけでなく、利用者一人一人の身体・精神状況を洞察し、判断する頭脳労働で、自らの感情をコントロールし、気遣いをする感情労働、さらには利用者の立場を共感する能力も必要−と強調している。

 介護現場を改善する突破口としては、マニュアルを作る▽機械・機器の導入▽労働基準法違反かをチェック▽労働組合も選択肢−などと列挙。「介護業界、いいかげんに目を覚ませ」「業界全体、経営の近代化が必要だ」と見通す。あらかんさんは「ルポライター」も自称。暴力を振るう利用者を「武闘派」、いじめをする古株の職員を「お局さま」と呼ぶなど、ユーモアを織り交ぜた筆致でリポートした。

 今回の「介護職のリアルと突破口」を出版したのは、会報に寄稿文を掲載したちば合同労組。同労組では初出版となり、クラウドファンディングで資金を募った。白井徹哉書記長は「介護は素晴らしい仕事であり、その実態を知ることで職場が変わる一助になれば」と話している。一冊八百円。本の問い合わせは、同労組=電043(225)2207=へ。

◆施設見学 ポイントは?

 あらかんさんの出版を記念し、福祉関係者と知人らの交流会が9月26日、千葉市内であった。出席者による「施設の見分け方」を一部紹介する。

・施設見学は平日がベター。日祝日は利用者関係者の面会が多く、施設長らも出勤する。すると、職員の対応が普段と違うケースが多いため。

・食事介助を見るといい。入浴も見学すると、施設の様子がよく分かる。

・多額の入居一時金を払う施設は避けたい。職員が交代したり、運営母体の経営が傾いた際、資金面で他の施設に移りにくくなる。

・利用者と職員との間で、信頼関係があるかどうかを見極めたい。

 

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