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【千葉】

<ひとキラリ>時代の流れ受けたまち 故郷・浦安の半世紀記録 写真家・大塚勉さん

移り変わる浦安をカメラに収めた大塚勉さん。指差した作品は1971年、埋め立て予定地の東京湾に浮かぶ「べか舟」=浦安市郷土博物館で

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 埋め立てで発展してきた浦安市の変貌ぶりを、カメラで記録してきた写真家の大塚勉さん(68)=東京都目黒区在住。浦安生まれ・育ちの大塚さんは、かつては漁師町だったことから、この約半世紀を「時代の大きな流れを受けてきた。新しい人がどんどん移り住み、日本の高度経済成長の典型的なまち」と振り返る。撮りためた写真のうち百八十一点を出品した企画展が十二月八日まで、同市郷土博物館で開かれている。 (保母哲)

 同市堀江に生まれ、父親が漁師だった大塚さんは、映画に興味を持ったことから東京写真大学(現東京工芸大学)に進学。在学時代からカメラを手に、埋め立て現場に足を運んだ。「工事が進むとともに、風景もどんどん変わる。それが面白かった」

 浦安は遠浅の東京湾の恵みを受け、ノリ養殖や魚介類の漁業が盛んだった。転機は高度成長期。京葉工業地帯の一角として、一九六四年から公有水面の埋め立てが始まり、市の面積は約四倍に広がった。間近でその様子を目にし、シャッターを押し続けるうち、「このまちの移り変わりを記録しておこう」との気持ちになったという。

 今回の企画展のテーマは「SITE 埋立地1971−2019 生成する場」。埋め立て工事とともに海が陸地になり、道路や地下鉄の建設、そして住宅やマンションが次々と建てられてきた歴史を、白黒写真などでたどった。

 ノリを採るために薄い板で作った「べか舟」を、大学生時代の一九七一年に写した作品をはじめ、開拓地のように広がる埋め立て地、砂ぼこりを巻き上げる工事用トラック、道路建設現場の風景など。「かつては交通路網が不便で、浦安は陸の孤島と呼ばれていた」と回想。都市化とともに、まちに大きな影響を与えた八三年の東京ディズニーランド、二〇〇一年の東京ディズニーシーの開園前の風景作品も飾った。

 その浦安は一一年の東日本大震災で、液状化など大きな被害に見舞われている。「生まれ育ったまちが、こんなになってしまった。心情的に写真を撮る気になれかった」。今回の企画展では、被災から数年後、液状化で出た土を集めた風景などを出品した。会場では、8ミリフィルムで収めたビデオの上映(十三分)も行われている。

 大塚さんは震災後、福島県などの被災地にも足を向けた。津波で流された住宅からアルバムなどの写真を集め、きれいにして被災者に返却するボランティアらに心を動かされたという。「写真をやっている身として、その活動は衝撃的だった」と話し、東京都内など各地で開いた作品展にも出品している。

 今回の企画展に合わせ、大塚さんの写真集(A4判、六十四ページ)も発刊された。一冊千円。

 開館時間は午前九時半〜午後五時。原則月曜は休館。入場無料。問い合わせは、浦安市郷土博物館=電047(305)4300=へ。

77年に撮影した建設中の湾岸道路。右側は東京ディズニーランドの建設予定地(大塚勉さん提供)

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