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【千葉】

古墳出土品の返還を 市原市が提訴へ 元調査団の70代男性

1977年の発掘当時の稲荷台1号墳。現在は住宅地となっている(市原市提供)

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 日本で作られた最古の有銘鉄剣とされる市原市指定文化財の「『王賜(おうし)』銘鉄剣」が出土した古墳「稲荷台1号墳」(同市山田橋)の出土品を無断で持ち去り、占有を続けているなどとして、市は発掘調査を担当した市内の七十代男性を相手取り、返還を求める民事訴訟を起こす。十三日の市議会定例会で関連議案が賛成多数で可決された。一月までに千葉地裁に提訴する方針。 (山口登史)

 市教育委員会によると、男性は一帯の古墳群の発掘に当たった調査団の元メンバーで、稲荷台1号墳を担当していた。調査が一段落した一九九八年に、財団法人「市文化財センター」が出土品を整理したところ、年代の特定に重要な役割を果たす須恵器や、武具の一部など出土品計八十七点の行方が分からなくなっていた。

 男性は著書で、出土品を所持していることに言及しており、市は、男性が同センターの嘱託職員だった九〇年ごろ、出土品の整理や報告書作成の名目で無断で持ち出したとみている。男性は九一年に退職した。

 市教委は、男性に対し、返還か出土品の整理、報告書の作成を求めてきたが、男性は昨年十二月以降、交渉を拒否。男性は「発掘者である自分に出土品を整理、報告する権利がある」と所有の正当性を訴えているという。

 市が今年八月に占有移転禁止の仮処分を申し立て、十一月に千葉地裁が八十七点のうち、男性宅にあった出土品など七十七点を市に移したが、鉄製のやじり「鉄鏃(てつぞく)」の破片など十点が見つかっていない。

 市教委ふるさと文化課によると、国内で古墳時代中期に作成された有銘鉄剣の多くが国重要文化財や国宝に指定されている。持ち出された出土品や記録類が返還され、報告書が完成すれば、鉄剣の歴史的価値がさらに上がる可能性があるという。

 同課の担当者は「裁判はやむをえないが、法廷でしっかり主張していきたい」と話している。

<稲荷台1号墳> 市原市山田橋にあった直径約27メートルの円墳で、5世紀半ばごろに築造されたとみられる。出土した「王賜」銘鉄剣は5世紀前半の製造と考えられ、持ち手寄りの部分に「王から鉄剣を授けた」という趣旨の銘文が刻まれており、古代東国と大和王権との関わりを物語るという。一帯は現在は住宅地となっている。

 

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