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【千葉】

一杯のコーヒー「誰か」へ 千葉市の飲食店「ギフト経済」実践

「知らない誰かへの優しい思いをつないでいきたい」と話す蛭田智也さん

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 見知らぬ誰かから贈られたコーヒー一杯を楽しみ、自分も次の誰かのためにコーヒーを贈る−。そんな善意をつなぐ取り組みが、千葉市稲毛区黒砂の飲食店「珈琲(コーヒー)とワインのある暮らし25(ヴァンサンク)」で続いている。賛同する人は徐々に増え、知らない誰かを思う優しさの輪が広がりつつある。 (太田理英子)

 「寒くなってきましたね。あったかい珈琲でカラダもココロもホッとゆるみますように」「幸せなひとときをおすごしください」−。コーヒーには、贈り手からの手書きのメッセージカードが添えられる。

 受け取った人も次の誰かのためにメッセージをつづり、その人のコーヒー代と一緒に店に託していく。コーヒー代は、気持ちに応じた額で、これまでに延べ約百五十人が参加したという。

 店主の蛭田智也(ともなり)さん(36)が二〇一八年秋、開店三周年に合わせ、「コーヒーレタープロジェクト」と名付けて取り組みを始めた。

 ヒントになったのが、米国映画「ペイ・フォワード 可能の王国」(二〇〇〇年)。人から受けた厚意を返すのではなく、別の誰かに広げて社会を良くしていく−。そんなストーリーが、「コーヒーとワインで皆の人生を豊かにしたい」との自身の志とつながった。

 店内に飾られたメッセージカードなどを見て、少しずつ客が興味を示すようになった。無記入のメッセージカードを市美術館や県内開催のマルシェなどで配布して参加を呼び掛けたところ、最近は毎月十人ほどが加わっている。

 中には、落ち込んだ時にやってきてはコーヒーと誰かのメッセージに癒やされ、元気に帰って行く常連客もいるという。

 これらの取り組みは、金銭を払う対価として物を得る経済行動と違い、人と優しさを贈り合う「ギフト経済」と呼ばれる。蛭田さんは関心を深めてもらうためにも、参加した人たちの善意の軌跡を可視化できるアプリの開発も考えているという。

 「知らない誰かとつながりを持つことで、人を思いやり、温かい気持ちになれる。ほそぼそと、この輪を広げていきたい」

 営業時間は午前七〜九時、正午〜午後三時、午後六〜十時で、日曜と月曜定休。ランチタイムやディナータイムには、ワイン、キッシュや自家製ロースハムなども楽しめる。問い合わせは、同店=電090(9812)9645=へ。

参加者から店に託されたメッセージカード=いずれも千葉市稲毛区黒砂で

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