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【社説】

竹田会長退任 彼一人の責任だろうか

 二〇二〇年東京五輪招致に絡む贈賄疑惑でフランス司法当局の捜査対象となった日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が退任を表明した。責任を負うべきは竹田氏だけなのだろうか。

 自身の潔白を主張していた竹田氏だが、トップとしての責任から逃れることはできなかった。

 一連の疑惑の背景には、招致に失敗した二〇一六年大会の影響がちらつく。

 当時の東京五輪・パラリンピックの招致委員会は、約百四十九億円もの費用をかけながらリオデジャネイロに敗れた。そのため二〇年大会の招致では、大手広告代理店が推薦したシンガポールのコンサルタント会社に二億円超を支払って万全を期したが、その一部が票の買収に使われたことが明るみに出た。

 贈賄疑惑を追及する仏司法当局が、招致委の理事長を務めていた竹田氏に捜査の目を向けるのは当然といえる。一方の竹田氏はコンサルタント会社に支払ったのは「正当な対価によるもの」としている。ただ、その金がどのように使われるかを知らなかったとしても、会社の素性や背後にいる人物を慎重に調査するべきだった。一六年大会の招致に失敗した焦りがあったのかもしれない。

 潔白を訴えるはずだった今年一月の会見では、捜査中の身であるため質疑を受けず、批判を浴びた。また、国際オリンピック委員会(IOC)委員の立場でありながら、海外で行われた会議にも欠席を続けた。海外では仏司法当局に拘束される恐れがあるからとみられ、本来の職務に支障が出ていたことは事実だった。

 竹田氏は、明治天皇の孫でIOC委員、JOC委員長(現・会長)を歴任した故恒徳氏を父に持つ。海外では「プリンス」と呼ばれて人脈も豊富だが、自ら身を引く形となった。ただ、一連の問題の責任を一人に押しつけて幕引きとしてはいけない。五輪開催の理念が乏しいまま招致にかじを切った関係者、関係団体すべてが反省するべきことだ。

 新国立競技場の建設費のコスト増大など、東京五輪には多くの問題が次々と持ち上がる。会長が退任しても、さらなるイメージ悪化は避けられないだろう。来年七月の開幕に向け、強い決意でガバナンス(統治)やインテグリティー(高潔さ)向上に取り組む姿を世界に発信していけるのか。それはイバラの道であることを覚悟して臨まなければならない。

 

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