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【社説】

空自F35墜落 国民が分かる究明に

 航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが訓練中に墜落した。不明隊員の無事を祈りつつも、多額の税金をつぎ込む次期主力戦闘機だ。機体に問題はないのか、事故原因の究明を急ぐべきである。

 F35Aはレーダーで捉えにくいステルス性に優れた最新鋭の「第五世代」戦闘機だ。米ロッキード・マーチン社が主体となり米英伊など九カ国が国際共同開発した。日本企業は開発には参加していないが、製造には加わり、事故機は愛知県の三菱重工業小牧南工場で組み立てた機体だった。

 操縦士の四十代の男性三佐は訓練を中止すると無線で伝えた後、消息を絶った。何らかの異変を認識していた可能性があるという。

 二〇一八年九月、米国で海兵隊仕様のF35Bの墜落例はあるが、F35Aの墜落は初めてだ。空自の航空事故調査委員会が調査を始めた。機体に原因があったのか、操縦に問題があったのか。事故原因の究明を急ぐべきは当然だ。

 F35Aは老朽化したF4戦闘機の後継機として、昨年一月、青森県三沢市の空自三沢基地に配備され、今年三月、十二機、八十人態勢で飛行隊が発足したばかりだ。

 岩屋毅防衛相はすでに同型機の飛行見合わせを表明し、三沢市の種市一正市長との面会では「地元の皆さまに大変ご不安を与えてしまい申し訳ない」と陳謝した。基地周辺住民の不安を考えれば、原因が究明され、対応策が完了するまで飛行を再開すべきではない。

 政府はF35を次期主力戦闘機と位置付け、F35Aと、短距離での離陸と垂直着陸が可能なF35Bを合わせて百四十七機まで調達する計画だ。仮に機体トラブルが墜落の原因なら、調達計画の妥当性も問われなければならない。

 大量調達にはトランプ大統領が求める米国製装備品の購入拡大に応える安倍晋三首相の狙いもあった。とはいえ、米国に配慮するあまり、事故原因究明の目が曇ってはならない。最新鋭戦闘機は米軍の軍事機密の固まりとされるが、可能な限り究明し、国民への説明を尽くすべきだ。

 F35A一機当たりの調達価格は一八年度の契約ベースで約百十六億円。多額の税金投入だ。F35Bのヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」上での運用には、憲法が禁じる空母保有に当たるとの批判がある。

 安全保障政策は、国民の理解がなければ成り立たない。事故原因の究明と国民への丁寧な説明がその前提であることを、安倍政権は肝に銘じるべきである。

 

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