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【社説】

就職氷河期世代 身を切る覚悟で支援を

 就職氷河期世代をどう救済するのか。政府は「骨太の方針」(原案)に正規雇用増を盛り込みその答えとした。だが経済政策の失敗で深く傷ついた世代を救うには企業も含め身を切る覚悟が必要だ。

 原案では氷河期世代の正規雇用を三年間で三十万人増やすと明記。実現のために資格取得などの就労支援策や雇用を引き受けた企業への助成強化などを掲げた。

 この世代はバブル経済崩壊後の一九九三年から二〇〇四年に高校や大学を卒業した。この間、銀行の不良債権問題が深刻化し株価は低迷。多くの業界が企業再編に追い込まれ、企業倒産も激増した。

 当時、大企業が極端なまでに新卒採用を控え、中小企業も影響を受けた。その結果、現在でも約百万人の非正規雇用者や働いていない人々を生んだ。

 上下の世代は雇用環境が良く比較的楽に就職ができた。しかし氷河期世代は人生のスタートでつまずいた。働き盛りの時期に不安定な生活を強いられ、加えて年金が受け取れないという不安にもさらされている。

 この状況を生んだのは、バブル経済とその崩壊を引き起こした国の壮大な政策ミスだ。同時にバブルに踊った企業の責任も免れない。企業は足元の業績を上げるため将来を担う人材の採用を安易に抑え、今は逆に人手不足に直面している。救済策は官民が協力して行うべきだと強く指摘したい。

 国は正規雇用増を対策の柱に据えた。重要なのは三十万という数値目標ではなく雇用の質だ。

 氷河期世代の中には四十代後半の人も多い。新たな技術の習得は簡単ではない。多様な育成プログラムを用意する必要がある。

 ブラック企業対策も欠かせない。就職しても不当な扱いを受ける場面は容易に想像できる。企業は「人助けで採用してやった」という感覚は捨てるべきだ。国も就職後の状況を丹念に監視する必要がある。それがなければ「傷ついた人々」を再生産するだけだ。

 氷河期世代全体は約千七百万人いる。多くの人々が雇用という人生の軸にあたる部分で理不尽な扱いを受けた。それがひきこもりなど社会問題に拍車を掛けたことは間違いない。

 政府と大企業はこの問題への責任を痛感し猛省すべきだ。この世代への雇用については、採算を最優先せず、可能な限り温かく柔軟に対応するのが経済先進国としての正しい道だろう。  

 

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