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【社説】

拳銃強奪 徹底した再発防止を

 警察官の拳銃が奪われる事件がまた起きた。最近は毎年のように発生している。防止策を進めるべきなのは当然だが、警察官の銃携行のあり方をあらためて考えることも必要ではないだろうか。

 交番勤務など外勤警察官の拳銃は、ホルスター(拳銃入れ)に納めて右腰に着け、拳銃とつながったつりひもがズボンのベルトに固定される。大阪府警吹田署の千里山交番で起きた今回の事件では、つりひもと拳銃をつなぐ金具が外された。

 同種事案では二〇一八年六月、富山市の交番で起きた事件が記憶に新しい。警察官の腹部など数十カ所を刃物で刺し、拳銃を奪った男が、近くの小学校にいた警備員を射殺。警察官も死亡した。

 警察庁は、この事件などを受けて、本人以外の角度からは拳銃が取り外しにくくなるように改良した新型のホルスター三万六千個(計五億数千万円)の導入を今春から始めていたが、今回奪われた警察官には、まだ行き渡っていなかった。

 専門家は「新型に交換していれば、強奪を抑制できたかもしれない」と指摘しており、配備のスピードアップが望まれる。ただ、警察官が倒されたりした場合には拳銃の角度も変わるため、「新型は万能とまでは言えない」との指摘もある。

 対策としては、交番内部への防犯カメラ設置のほか、侵入者に襲撃されにくいような内部のレイアウト変更なども進められているという。しかし、警察官が交番の外で刺された今回のようなケースには対応できず、さらなる知恵が必要だろう。

 日本では、交番勤務の制服警察官は、通常、常時拳銃を携行する。しかし、英国(一部を除く)やニュージーランドのように、地域を巡回する警察官が原則として拳銃を持たない国もある。「市民との間に障壁をつくらない」ための伝統だという。

 むろん、拳銃の携行によって、犯人逮捕ができた事案も、防ぐことのできた事件も多いはずだが、拳銃を「持っていなければ奪われない」のも確かだ。「常時携行」の運用を見直して、強奪のリスクを低くする対策も検討してみるべきではないか。

 いずれにしろ、徹底して再発防止をしないと、そのこと自体が同種事案の再発を促すことになる。交番を襲えば時には拳銃を奪うことができる−。そんなことが“常識”になるのは悪夢である。

 

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