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【社説】

<’19参院選>生きやすさ 痛み感じるセンサーは

 今回の参院選は、生き方の多様性が各党の公約として取り上げられ、これまでの選挙よりも争点として前面に出ていることに一つの特徴がある。

 選択的夫婦別姓の導入は立憲民主、国民民主、共産、社民が公約で掲げる。公明は「議論を進める」。党首討論で賛否を問われ、自民党の安倍晋三総裁(首相)は手を挙げなかった。

 国会は二十年以上、この問題を放置している。一九九六年に法相の諮問機関である法制審議会が導入に向けた民法改正案要綱を答申。最高裁は二〇一五年、夫婦別姓を認めぬ民法の規定を合憲としたものの、国会で議論すべき問題だと指摘している。

 最近も敗訴はしたが、男性のIT企業社長が別姓が認められないことでビジネス上の不利益があると司法の場で訴えた。「家族の絆が壊れる」といった、保守系政治家の伝統的家族観が分厚い壁となり続けている。

 LGBTら性的少数者については各党とも支援を打ち出す。維新などが同性婚を認めるとした。

 各党は自らの多様性も問われている。「政治分野の男女共同参画推進法」が成立して初の大型国政選挙となった今回、女性候補が全体に占める割合は28・1%と過去最高になった。ただ、国が指導的役割を担う女性の割合として目標に掲げる三割には届いていない。

 自民候補の女性比率は14・6%にとどまった。安倍氏は「まだまだ足りない。努力不足といわれても仕方がない」と話し、次回参院選などで20%を目指すとする。

 今回、各党候補者の顔触れの中には、LGBTの当事者や重度身体障害者も含まれている。

 濃淡の差はあれ各党がこれまで以上に多様性に目配りする姿勢を示していることは歓迎したい。セクハラを告発する「#MeToo」運動がインターネットを通じて世界的なうねりとなったことなども影響しているのだろう。

 いくら「活躍」を叫んでも、抱える痛みが一つひとつ解決されなければ十分に力を発揮できないのは、性や年齢、障害の有無などにかかわらず共通する。

 政治がそれらを感知し、個々が生きやすいよう政策をデザインしようとするのか、それとも自らの価値観の型にこだわり続けるのか。今回の選挙で見える変化の兆しは、政治のあり方に地殻変動をもたらす可能性も秘めている。一票を投じる価値はある。

 

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