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【社説】

月着陸から50年 宇宙への夢これからも

 米アポロ11号で、アームストロング船長が月面に「偉大な一歩」をしるしてから五十年。再び、月を目指し、さらに火星へという国際協力の構想が進んでいる。次は日本人がはばたく姿も見たい。

 アポロ計画は原爆開発のマンハッタン計画をしのぐ予算と人員を投入した国家プロジェクトだった。よくあの程度の性能のコンピューターで成功したと感心する。科学技術の成果ではあるが、冒険でもあった。

 宇宙開発で旧ソ連に後れを取ったという危機感から計画は始まった。月に行くことが目的だったため月面に星条旗を立てた後は関心が薄れ、一九七二年の17号で打ち切られた。

 科学的な成果は大きかった。着陸前は、11号の着陸船は月の表面を覆うレゴリスと呼ばれる砂やチリに埋もれるのでは、と心配されてもいた。アポロ計画全体では、月の石を三百八十二キロも採集。今も世界中で研究されている。

 11号などは着陸地点近くに地震計を設置、月にも地震(月震)があることを教えてくれた。また、月面に反射器も設置。地上からレーザーを反射させて月と地球との距離を精密に測る実験が続いている。驚いたことに、少しずつ月は地球から離れていっている。

 アポロに感動して研究者となった人もいる。小惑星探査機「はやぶさ2」が持ちかえる試料を分析する野口高明九州大教授(鉱物学)もその一人。「小学生のときにアポロの月着陸があった。地球外の物を測ってみたいというのが常にある」と話す。

 坂村健東洋大教授は高校生のとき、米航空宇宙局(NASA)の管制室に並ぶコンピューターがアポロを制御していることに感動した。坂村教授が開発したコンピューターの基本ソフト(OS)トロンは世界で一番シェアが高いOSである。はやぶさ2の制御にも使われている。

 トランプ米大統領は、自らが再選された場合の任期中になる二〇二四年に、火星への前段となる月の有人着陸を目指す。冷戦が背景にあったアポロ計画は長続きしなかった。今回は米中の覇権争いを絡ませるべきではない。

 日本や欧州などは協力を表明している。日本人が宇宙飛行士として参加することも、全くの夢物語ではないだろう。五十年前の月着陸は多くの子どもたちに科学や技術への興味を抱かせた。国際協力の象徴となるような息の長いプロジェクトにしてほしい。

 

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