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【社説】

韓国が協定破棄 問題の原点に立ち返れ

 対立が安保分野にも拡大した。韓国が日韓の軍事情報を共有する協定の破棄を発表したからだ。事態をこれ以上悪化させてはならない。原点となった元徴用工問題の解決策について話し合うべきだ。

 韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄に踏み切ったことは、とても賢明な選択とは言えない。

 関係が難しい時でも、北朝鮮や中国、ロシアの動きをにらみ、日韓の安保、防衛面での協力は続いていた。韓国政府内でも、国防省は破棄に反対したと報じられているが、当然だろう。

 そもそもこの協定は、秘密情報を提供しあい、外に漏らさないよう約束するものだ。

 交換された情報の数は多くはなかったものの、二〇一六年の締結以来、成果を上げていた。

 五月以降、北朝鮮は飛翔(ひしょう)体を再三発射している。日韓はお互いに不足する情報をやりとりし、ミサイルの性能分析に役立てていた。

 韓国は、脱北者を通じた北朝鮮内部の情報を豊富に持っており、拉致問題の解決を望む日本にとって、貴重なものといえる。

 協定が破棄されても、双方に大きな影響はないとの見方もあるが、日米韓の協力体制は弱体化しかねない。米国も「失望と懸念」を表明しており、米韓関係にも悪影響を与えるだろう。

 文在寅(ムンジェイン)大統領周辺に起きていたスキャンダル隠しが狙いとの指摘も出ており、韓国政府にとっては損失の方がはるかに大きい。

 しかし、韓国政府が極端な決断をしたのは、安倍政権の強硬な対応と無関係ではないだろう。

 日本政府は、元徴用工問題の対応が不十分として、軍事転用も可能な半導体材料の対韓輸出規制を強化した。さらに、韓国を輸出の優遇対象国からも外した。

 経済を巻き込んだ、異例の報復的措置であり、韓国では想定外の反発が起きた。

 さらに安倍晋三首相や政府高官は、韓国について「国際的な約束を守らない」「輸出管理に不備がある」と批判した。

 韓国政府はこれに対し、「韓国を信頼できないという国と、敏感な軍事情報をやりとりできない」と日本側の責任を指摘している。

 関係悪化の影響は、日本にも及んでいる。安倍首相は、破棄を受けて「信頼関係回復」の必要性を強調した。それなら、さらなる「報復」を行うべきではない。双方が冷静さを取り戻し、問題解決に向けた努力を始めてほしい。

 

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