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【社説】

五輪と旭日旗 持ち込み許容の再考を

 来年の東京五輪で、競技会場への旭日(きょくじつ)旗の持ち込みが認められる見通しだ。しかし、この旗は、歴史的な経緯もあり、周辺国からの反発を生みかねない。大会の成功のためにも再考を求めたい。

 韓国政府は、旭日旗について「周辺国家に過去の軍国主義と帝国主義の象徴と認識されている。ナチスのハーケンクロイツ(かぎ十字)のような戦犯旗」と主張、国際オリンピック委員会(IOC)に持ち込み禁止を要請した。

 これに対して日本政府は、旭日旗のデザインは、大漁旗など民間で広く使われており、「政治的宣伝にはならない」として、問題ないとの立場だ。橋本聖子五輪担当相も同じ考えを表明している。

 旭日旗は、ドイツのかぎ十字のように法律で利用が禁止されているわけでなく、自衛艦旗として使用もされている。

 しかし、大漁旗、社旗などに使われているのは、太陽の光を象徴する一部のデザインにすぎず、民間に普及しているという日本政府の説明には、無理がある。

 過去、旧日本軍の軍旗などとして使われていたのは歴史の事実だ。さらに日本国内では、今も軍国主義やナショナリズムのシンボルとしてしばしば登場している。

 この問題は、サッカーに前例がある。二〇一七年に韓国京畿道の水原で行われた韓国チームとの試合で、川崎フロンターレの一部サポーターが、旭日旗を掲げた。

 アジア・サッカー連盟(AFC)は旭日旗を、「攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗」であると認定し、フロンターレに罰金などの制裁を科している。

 中国でも問題が起きている。〇一年、人気女優が雑誌のグラビアで、旭日旗をあしらった服を着用したところ、「国賊」などと激しい非難を浴び、謝罪した。

 〇八年の北京五輪では、現地の日本大使館が日本人観客に対し、競技場へ旭日旗を持ち込まないよう文書で呼びかけている。海外の試合はだめだが、自国開催の五輪なら問題はないのか。日本政府の姿勢は矛盾している。

 IOCは、「競技会場は、あらゆる政治活動と無縁であるべきだ」とし、推移を見守っている。懸念には個別対応する方針だ。

 そもそも五輪は、「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の推進」を、目標としてうたっている。競技に集中できる穏やかな環境を準備することも、主催国の大切な役割だろう。

 

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