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【社説】

安倍首相答弁 まるで人ごとのようだ

 安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問。野党は関西電力役員らの金品受領や「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付などを追及したが、首相は正面から答弁せず、まるで人ごとだ。

 代表質問はきょうまで参院で行われ、あすからは与野党論戦の主舞台である予算委員会が始まる。七月の参院選後、与野党が本格的に論戦する初めての国会だ。議論の形骸化が長年指摘されてきた国会は、国政の調査や行政監視という国民から託された機能を果たすことができたのだろうか。

 二日間の質疑を見る限り、答えは残念ながら「否」である。その要因として、質問に正面から答えようとしない首相の不誠実な政治姿勢を指摘せざるを得ない。

 関電役員らの金品受領は一企業にとどまらず、立憲民主党の枝野幸男代表が指摘したように「金品の原資は電力料金か税金に由来する『原発マネー』。関電の隠蔽(いんぺい)体質と利権による資金還流は原発政策の根幹に関わる大問題」だ。

 にもかかわらず、首相は「第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠だ」と述べるにとどめ、岩根茂樹関電社長ら関係者の参考人招致要求にも反応しなかった。原発問題を巡る深刻さにあまりにも鈍感ではないのか。

 極め付きは、表現や報道の自由に関する首相答弁だ。

 枝野氏は国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」に対する国の補助金約七千八百万円の不交付や、かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHKに対する日本郵政グループの抗議に言及し、圧力や忖度(そんたく)、萎縮が拡大すれば、戦前のような報道・表現の自由が機能しない社会に追い込まれると指摘した。

 しかし、首相は「補助金交付は所管官庁で法令や予算の趣旨にのっとり適正に実施される」と原則論を述べ、文化庁の判断と強調。NHKの問題も「担当部局で事実関係を確認中だ」とかわした。まるで人ごとのような答弁だ。

 そればかりか「ありもしない危機感をあおるような言動は言論機関、才能あふれる芸術家に対して大変失礼だ」と反論した。

 問われるべきは、政権の意向に反する表現を手続き上の理由で排除したり、報道機関に矛先を向ける安倍政権の姿勢そのものだ。首相の反論は筋違いも甚だしい。

 立民、国民民主両党などの野党は統一会派で臨時国会に臨んだ。巨大与党には遠く及ばないとしても、その「数の力」は政権監視、追及にこそ生かすべきである。

 

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