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【社説】

相次ぐ閣僚辞任 任命責任を取るのなら

 閣僚の相次ぐ辞任を巡り、安倍晋三首相は「責任を痛感する」としながらも、どう責任を取るのかは語らない。行政を前に進める、と言うだけでは、任命責任を取ったことにならないのではないか。

 首相は九月十一日に内閣改造を行った。第一次内閣を含めて十一回目となった組閣の狙いを、首相は「安定と挑戦」と強調した。初入閣は十三人に上り、十七のポストが入れ替わる安倍内閣で最も大規模な改造である。

 ところが安定とは名ばかりで、十月下旬、菅原一秀経済産業相と河井克行法相が、公職選挙法違反の可能性を指摘する週刊文春の報道を受けて相次いで辞任した。六日間で二人の閣僚辞任は極めて異例だ。

 きのう約八カ月ぶりに開かれた衆院予算委員会集中審議で、首相は閣僚辞任について「国民に大変申し訳なく、任命した者として責任を痛感している」と答弁した。

 通常の組織で、長たる者に責任を問う場合、引責辞任か減給が通例だ。しかし首相は、そのどちらでもなく「国政に遅滞が生じないよう行政を前に進めることに全力を尽くすことで国民への責任を果たす」と述べるだけで、辞任した閣僚の任命責任を具体的にどう取るのかは明らかにしなかった。

 一般社会と政界を同列に扱うのは不適切だとしても、遅滞なく行政を進めるだけで任命責任を取ったことになるのか。そもそも遅滞ない行政は、閣僚辞任に関わりなく内閣として当然ではないか。

 首相が閣僚辞任の責任を取るとしたら、内閣総辞職するか衆院を解散し、国民に信を問うのが筋である。野党側も「内閣総辞職に値する異常事態」と位置付けるのであれば、衆院解散をも受けて立つ気迫で追及せねばなるまい。

 二閣僚辞任のきっかけは、秘書による香典持参や運動員への高額報酬など公職選挙法違反の可能性を指摘する週刊誌報道だが、本人が国会で説明しておらず、国民への説明責任を果たしていない。

 野党側は菅原、河井両氏の予算委員会への参考人招致を要求している。与党側は「前例がない」として拒否しているが、閣僚辞任に至った原因を究明し、再発防止に努めることも政権与党の責任だ。首相が責任を痛感するのなら、国会での説明を促すことが、最低限の任命責任ではないか。

 「政治とカネ」に関わる問題でもある。菅原、河井両氏は参考人招致を待つことなく、自ら進んで国会の政治倫理審査会に出席し、説明責任を果たすべきである。

 

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