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【社説】

桜を見る会 中止で幕引き許されぬ

 「桜を見る会」を巡る問題は、安倍晋三首相が公私混同甚だしく支持者を多数招いて事実上、後援会活動の場としていたことだ。まずは首相が国民に謝罪し、疑惑の解明に進んで協力すべきだ。

 公職選挙法違反の疑いが指摘された経済産業相、法相を、国会で説明させる直前に「更迭」する、文部科学相の暴言で大学入学共通テストの英語民間試験への批判が高まるや、突然見送りを決める。

 今国会でも繰り返されているのは、政権への打撃が大きいとみると批判の矢面から「火元」を覆い隠す安倍官邸の手法である。

 菅義偉官房長官が来春の開催中止を発表した桜を見る会も同様にしたいのだろうが、今回の問題には首相が直接関わる。国民の目は一層厳しく、沈静化や幕引きなどできるはずもない。

 菅氏は、中止の理由について「さまざまな意見を踏まえ」招待基準や予算、人数を見直すためと説明した。首相をはじめ与党議員らが明確な基準もなく後援会関係者を招いていたのを認めた形だ。

 八日の参院予算委員会で問題が指摘されて以降、野党やマスコミの調べで後援会活動そのものの会の利用が相次ぎ判明している。

 首相の地元、山口県内の後援会関係者の元には例年、安倍事務所から桜を見る会とともに東京都内観光への参加を募る文書が送られ、申し込むと内閣府から桜を見る会への招待状が届く仕組みだったという。同時に首相後援会主催の前夜祭の案内もあった。

 申込書には住所や氏名を書くだけで、用紙をコピーすれば後援会とは無関係の人を誘うことができたとの証言も。驚くばかりだ。

 首相は予算委で「招待者の取りまとめには関与していない」と述べたが、自身の事務所による募集までは否定できまい。公的行事の私物化は、公選法や財政法違反以前に重大な政治倫理違反である。

 首相自ら、過ちを認めた上で謝罪と反省をまず語るべきだ。

 桜を見る会とは別に、前夜祭を巡る疑惑が残る。会費に関して首相は、参加者が会場のホテルへ支払ったとするが不自然だ。後援会が受け付けたとの報道もある。前夜祭について首相側の政治資金収支報告書には記載がない。会費より飲食費が上回っていた場合、買収に当たる可能性もある。

 この件で法令違反に問われるようなら、首相にはその座にとどまる資格があるのか。桜を見る会の中止で幕引きは許されない。疑惑解明の始まりにすぎない。

 

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