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【社説】

WHOと米中 結束が最良の防疫策だ

 世界保健機関(WHO)が、米国と中国の対立で揺れている。新型コロナウイルスの世界規模での感染は止まっていない。各国が結束することこそが、最良の防疫策であることを再認識すべきだ。

 トランプ米大統領は「中国の操り人形」と呼ぶWHOに書簡を送り、中国からの独立を要求。三十日以内に実現しない場合、拠出金の恒久停止や脱退まで示唆した。初動が遅れた自らの責任を転嫁する姿勢が露骨だ。

 これに対して中国の習近平国家主席は、WHO総会のテレビ会議に出席して釈明。WHOの新型コロナ対応に関する独立・包括的な検証を求める決議にも賛成した。

 しかし検証の実施時期については「流行終息後」(習主席)とするだけで具体的に触れなかった。

 逆に習主席は「世界の公共衛生に協力する」として国際社会への大規模な援助を約束したが、これでは自国への批判をかわすのが狙いといわれても仕方ない。

 総会への台湾のオブザーバー参加問題も、米中の摩擦が影を落とした。「一つの中国」の原則にこだわる中国の反対で、参加が見送られた。

 台湾は感染防止で卓越した成果を上げ、世界の注目を集めている。過去に参加していた実績もある。多くの加盟国が参加を支持しており、当然認められるべきだ。

 確かに、中国とWHOとの関係や、一連の対応について、多くの国が不満と不信感を抱いている。

 しかし今は、世界が直面している危機的な状況を脱することを、最優先の課題にすべきだ。

 状況はロシアや南米、中東で依然として深刻だ。ブラジルでは感染が急拡大し、医療崩壊の瀬戸際に追い込まれている。

 WHOの弱体化は、国際機関に頼るしかない途上国や、弱い人々の救済遅れに直結する。

 総会でドイツのメルケル首相は、「どの国も一国では、この問題を解決できない」と、結束の重要性を訴えた。米中の指導者は、この言葉をかみしめてほしい。

 まずは、各国がウイルスとの戦いで得た教訓を分け合い、協力しあうことが大切だ。

 例えば、ウイルスの特性や感染経路、治療から得られた医学的な知見などだ。さらに百十以上の開発プロジェクトが進んでいるというワクチンに関する情報を、各国が共有することも急がれる。

 日本政府には、米中の緊張緩和と国際協調実現のため、積極的に動くことを望みたい。

 

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