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【コラム】

筆洗

 日ごろ、トランプ米大統領の意見にうなずけることはあまりないのだが、「偉大な男だ」とたたえた大統領の言葉にこの日ばかりは心から同意し、肩を組んで酒をくみかわしたくさえなる気分である。不振を極め、一時は選手生命を危ぶまれたタイガー・ウッズ選手がマスターズで優勝を果たした▼オーガスタでの大声援。理由が分かる。それは逆境にも立ち向かった人への称賛と励ましなのだろう。試合後、家族の元へ駆け寄り抱き合う姿。ここ数年の困難な日々を想像し、目を潤ませた日本のファンもいるはずだ▼誰がこの日を予想できたか。アスリートとしては下り坂の年齢。腰、膝を痛め、幾度も手術を繰り返した。醜聞、離婚と続いた私生活。二〇一七年には薬物の影響下での運転で逮捕もされた▼うつろな顔の逮捕写真を覚えている。美しいスイングを誇ったその人物がまっすぐ歩けない映像を覚えている。はい上がったのはそのどん底からである▼かつては初日から最終日まで独走するという圧倒的な勝ち方が多かったが、今大会は混戦を耐え抜いての逆転勝利だったことも印象深い。暗闇の中であきらめぬ心を磨いてきたのだろう▼<成程(なるほど)、冬の次は春ですか>。同じタイガーでも寅さん映画のせりふを思い出す。冬を耐え抜けば春は必ずめぐり来る。ナイス・ショット。いや、ナイス・ファイトと声を掛けるべきか。

 

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