東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

 山水画は中国に始まり、早くから日本に伝わっている。中国の模倣から離れ、独自の筆法をものにしたのが室町期の才人、雪舟である。五十歳手前で中国に渡っている。航海に危険が伴った時代だが、本場で学び、力を試したいという思いが勝ったようだ▼北京では見事な壁画を描いた。<中国人をあっといわせ、「右に出づるものこの国になし」とまでいわせた>(『解説日本美術史』)という。山水画発祥の国で得たほまれである。喜びはどれほどだったか▼「芸術の都」などの言い回しがあるが、さまざまな分野に、各国、各地の一流が、最終的に目指す「都」や「発祥の地」はあるだろう。カレーづくりに自信を深めた人々にはやはりこの国か▼「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋は先日、インドに進出すると発表した。発祥の地に出ていくのは宿願だったそうだ。成功すれば、ほまれであろう。トッピングを選ぶ方式なども基本的に踏襲しつつ、日本式のカレーライスとして勝負するそうで、かの国の人からいい反応もあるそうだ▼カレーはさまざまな味と食べ方で世界中に広がってきた。明治期以来の日本式は、中でも、とろみのあるルーなどで独自性が高い▼発祥の地からみれば、遠くからの帰還である。進化を遂げた味は、おそらく「この国になし」といったところだろう。かわいがられるか気になる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報