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【記者たちの胸ポケット】

詐欺は仕事/続く“占領”/ファンサービス

藤川大樹(38)社会部記者

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◆詐欺は仕事

 ニセ電話詐欺グループの幹部を名乗る男を取材したことがある。男は二十代半ばで、身元は一切明かさなかった。田舎から上京し、知人の暴力団組員から「面倒を見ている『箱』(拠点)がある」と誘われたという。「一カ月で三千万円を稼いだこともある」と豪語した。

 罪のないお年寄りからお金をだまし取ることに罪悪感はないのか。そう尋ねると、彼は「自分もじいちゃん、ばあちゃんは好きですけど、仕事なんで」とさらりと言ってのけた。さらに「俺らがキャバクラとかでお金を使って景気が良くなる部分もあるでしょう。悪いやつらがいなければ、飲み屋だってつぶれますよ」と笑いながら続けた。

 だまし取った金で高級外車とマンションの一部屋を買った上、残りは暴力団が胴元の野球賭博につぎ込んだという。ニセ電話詐欺を「仕事」と割り切り、罪悪感はつゆほども感じられない口ぶりに言葉を失った。

◆続く“占領”

 昨秋、戦中生まれの自衛隊OBと東京都港区の米軍施設「赤坂プレスセンター」を訪れた。米軍関係者の間では「ハーディー・バラックス」と呼ばれる。

 もとは旧陸軍駐屯地で、米軍が戦後に接収した。ヘリポートや星条旗新聞社、将校宿舎などがあり、施設内に入るにはパスポートを提示しなければならない。港区などは長年、返還を求めているが、見通しは立っていない。日本であって、日本でない場所−。都心の一等地にある米軍施設を前に、自衛隊OBは悔しそうな表情を浮かべた。

◆ファンサービス

 グローブは着用せず、バンデージを拳に巻くだけ。肘や膝、頭突きなどによる攻撃が認められ、「世界で最も危険」とも称されるミャンマーの格闘技「ラウェイ」。その大会が先月末、文京区の後楽園ホールであり、足を運んだ。個性的な日本人選手たちが活躍したこともあり、会場は大いに沸いた。

 驚いたのは、選手たちが試合後、出口で観客を見送っていたこと。顔をボコボコに腫らし、鼻にガーゼを詰めながら、笑顔で握手をしたり、写真撮影に応じたり。ファンとの触れ合いを大切にするのは、もはやアイドルの専売特許ではないようだ。

<藤川大樹(ふじかわ・ひろき=38)社会部記者> 静岡県出身。2004年入社。調査報道班で「税を追う」キャンペーンを手がける。元バックパッカーで大学ではラオス語を専攻、タイに留学した。共著に「ミャンマー権力闘争」など。

 

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