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【記者たちの胸ポケット】

たどり着けない/共生と言いつつ/憧れの場所

渡辺聖子(41)社会部記者

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◆たどり着けない

 性同一性障害の児童生徒の支援について、文部科学省が配慮すべきことをまとめていると聞き、電話で問い合わせた。二〇一五年の通知が最新で、省のホームページに載っているというので、パソコンを操作しながら説明を受けることにした。

 トップページから「人権教育」のページへ。さらに細かく画面を開くよう指示され、最後に「『その他』に関する参考資料」をクリック。ようやく目的の通知を見ることができた。

 しかし、分類の仕方がさっぱり理解できない。性同一性障害の子どもたちが「その他」ってこと? 全国の教育委員会に出した通知が「参考資料」なの? 迷わずたどり着ける人はどれほどいるのだろう。周知する意志はありますか?

◆共生と言いつつ

 東京・新大久保で、母国の料理店や食材店などを経営しているネパール人の男性(37)と会った。「治安の良いアジアの先進国」という理由で来日して十五年。ビジネスはもちろん、今や生活の面でもネパール人コミュニティーの中心的存在だ。

 彼の元には日々、さまざまな相談事が寄せられる。時には「日本人の保証人がいなくて家を借りられない」「アルバイトに応募しても断られた」と悩む仲間の世話もしてきた。「外国人に対応してくれない話を聞くと悲しい。日本は完全には国際化していない」と彼は語った。

 外国人労働者の受け入れを拡大する新制度が始まり、私たちのすぐ隣に暮らす外国人はますます増える。彼の嘆きが心に残っている。

◆憧れの場所

 高校時代は吹奏楽部に所属し、部活動に明け暮れる日々だった。朝練に始まり、放課後も週末も。夏休みにはコンクールがあり、休みはなかった。

 地方大会を勝ち抜いた代表校が出場する全国大会は、「吹奏楽の聖地」とも呼ばれた普門館(杉並区)で開かれた。県大会どまりの地方の高校生にとっては夢のまた夢の場所。その聖地が昨年末、解体されることに。

 取り壊しの直前に一般公開があり、取材に行った。黒光りする舞台を歩き、奥行きのある広い客席を眺め、二十数年前にこの光景を見ていたら人生が変わっていたかも、と思った。来場者に配られた外壁のタイルが宝物になった。

<渡辺聖子(わたなべ・まさこ=41)社会部記者> 岐阜県出身。2000年入社。練馬区、中野区、杉並区を中心に東京ニュースを担当。高校時代は吹奏楽部でテナーサックスを吹いていた。不惑の年から始まった東京生活に戸惑ってばかり。

 

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