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【記者たちの胸ポケット】

数理女子の情熱/快挙支える職人/新米記者の喜び

増井のぞみ(37)科学部記者

写真

◆数理女子の情熱

 ユニークな企画「女性数学者の写真展」を東京工業大で取材した。日本と欧州の女性二十二人がさっそうと授業や研究に励む写真に、「数学は目に見えないものを見ることができる」などのメッセージを添えている。

 「日本では非常に早い段階で女性が数学から脱落している。何とかしたい」と、ウェブサイト「数理女子」を運営する数学者たちが開いた。日本数学会の会員約五千人のうち女性はわずか7%。「女性は数学に向いていない」という社会全体の先入観も背景にあるという。

 企画した東京大の佐々田槙子准教授(34)は「女性の活用が進まない研究分野は見捨てられていく。数学は深く、幅広い分野と知ってほしい」と話す。同じ女性として頼もしく思った。

◆快挙支える職人

 はやぶさ2が小惑星りゅうぐうにクレーターをつくるため、衝突装置を爆発させて金属弾を撃ち込む実験に成功した。相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で立ち会いながら、ある人の笑顔が浮かんだ。

 装置を開発したメーカーの一つ「日本工機」の川堀正幸さん(53)。「爆薬を詰めるプロ」だ。円すい形の容器の先端から、気泡が入らないよう、とろろ状の爆薬五キロを七時間かけて詰めた。「表面の岩石をどかして、小惑星内部の研究が進めば最高」と話す。

 同社が装置の開発を始めたのは十年前。地球から三億キロ先での「一発勝負」のためだ。努力に報いる成果を期待している。

◆新米記者の喜び

 「え、何で私の名前が?」。東京大で開かれた日本国際賞の受賞記念講演会。受賞者の岡本佳男・名古屋大特別教授(78)がスライドで映したイラストに「By N・Masui and Y・Okamoto」とあり、目を丸くした。

 岡本さんは、構造が似た有用な分子と不要な分子を効率的に分ける技術を開発し、その技術は医薬品製造に使われている。私が科学部で初めて取材した研究者でもある。構造が似た分子を「右手」と「左手」に例えて説明を受け、苦心して紙面にイラストをつけた。

 岡本さんに「分かりやすい」とほめてもらったが、手を加えて研究資料にも使われるとは。「難しい研究を分かりやすく伝える」という科学部記者の基本が少しできたかなと、ジーンとした。

<増井(ますい)のぞみ(37)科学部記者> 兵庫県出身。2006年入社。文部科学省を担当し小惑星探査機「はやぶさ2」など取材。各地でおいしい物を食べるのが趣味。最近は手焼き体験した草加せんべいの味が心に残った。

 

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