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【記者たちの胸ポケット】

抗議の流儀/世界一高い?/県産泡盛の野望

山口哲人(38)政治部記者

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◆抗議の流儀

 今年三月末までの半年間、沖縄の地元紙・琉球新報に記者交流で派遣された。しばしば新聞やテレビで見る名護市辺野古(へのこ)の米軍キャンプ・シュワブのゲート前や、埋め立て土砂を積み出す桟橋にも行き、新基地建設に反対する市民らを取材した。

 物々しい雰囲気になることもあるが、その日その日のリーダーの統制のもと、秩序を保ちながら「美(ちゅ)ら海(うみ)返せ」「わっしょい」と抗議している。ある時、若い男性が珍しく機動隊と小競り合いになった。すぐにリーダーが飛んできて、なぜか若者の方を突き飛ばした。

 「おまえの感情的な行動のせいでここで抗議ができなくなったらどうするんだ」。ものすごいけんまくで叱りつけた。新基地完成のメドは全く立っていない。ゲートや桟橋前で合法的に抗議を続け、土砂を運ぶダンプを毎日少しずつ遅らせることが、今できる最大の抗議なのだ。

◆世界一高い?

 経済部で財務省担当だった時、止まらない国の予算膨張を憂えて、エコノミストに疑問をぶつけた。「家計が赤字なら食費を削ったりして収支を合わせようとするが、なぜ国は借金を続けて予算を組むのか」。答えは「国は家庭ではなく集落。各省庁とも『なぜうちだけ我慢しなければならないのか』となる」。予算を獲得できる官僚が評価されることも原因だという。

 翻って名護市辺野古の新基地建設。国は工費を公表していないが、県試算では二兆五千五百億円。試算通りなら国の単年度当初予算(約百兆円)の2%超に相当する恐らく世界一高額な基地となる。官僚の評価はさて置き、国の財政は大丈夫?

◆県産泡盛の野望

 沖縄の酒と言えばオリオンビールか琉球泡盛。実は泡盛の原料のほとんどがタイ米だ。沖縄県議と泡盛を飲んでいた時、政府が旗を振る原料の県産化の話題になった。県議いわく、泡盛生産で使うタイ米は一万二千トン、対して県産米の生産量は二千トン。県内の全農家が米を泡盛に振り向けても足りないという。

 調べると、政府は全ての酒造所で県産米を使用せよ、と言っているのではなく、海外輸出をする際に付加価値を高めるため、県産米に切り替えてはどうか、と勧めている。純県産泡盛を気軽に飲める日が来るのは、まだまだ先ということらしい。

<山口哲人(やまぐちあきひと)(38)政治部記者> 映画「翔んで埼玉」で注目の埼玉県出身。2006年入社。官邸担当。大学で英語の教員免許を取ったものの、勤労意欲がわかずしばらくバックパッカーに。

 

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