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【記者たちの胸ポケット】

ステーキ動画/ウェールズ推し/差別の実態

井上靖史(44)社会部記者

写真

◆ステーキ動画

 まさか、という思いだった。在日米陸軍のフェイスブックで分厚いステーキをほおばる自分の姿が動画で紹介されていた。昨年六月、勤務していた相模原市の記者クラブ員と同軍司令部がある基地「キャンプ座間」司令官との会食の様子だ。

 写真も公開され、司令官と各社の記者が談笑する場面ばかり。実際は、基地の全面返還を求める地元に対し米軍がどう考えるか質問もぶつけていたが、これではまるで癒着のよう。

 最初から地元との友好をアピールする狙いだったのか。司令部は三カ月後、「新たに防空ミサイル部隊の司令部を置く。増員百十五人」と発表。“戦略”に翻弄(ほんろう)されるばかりだった。

◆ウェールズ推し

 平成最後となった今年の正月、元号の話題にちなみ、昭和最後の全国高校ラグビー大会を制した茗渓(めいけい)学園(茨城県)元監督の徳増(とくます)浩司さんを記事に取り上げた。昭和天皇逝去の影響で決勝戦は中止となり、二校優勝となった当時の思いを聞いた。

 「大会を通じて選手が楽しんでやってくれたので未練はなかった」と徳増さん。言葉通り、当時の茗渓学園は味方を何人もおとりにした予想外のパスなどで縦横無尽に走り回り、観客を魅了した。徳増さんが二十代に留学した英国ウェールズで吸収し、植え付けた戦術だった。

 手本となったウェールズは開幕が迫るワールドカップ日本大会に出場する。ボールを大きく動かしながら多彩に攻めるのが伝統。三十年前、観客を驚かせた茗渓学園のように、日本人を魅了するか。

◆差別の実態

 「外国人の社員は日本風の名前と漢字を当てて記入してきた」。外国人労働者の受け入れ拡大を巡る取材中、ビル清掃会社の幹部から聞いた話。会社では以前から日系人ら外国人を雇ってきたが、顧客に出す報告書ではそうしてきたという。

 清掃は住居や事務所がある建物にも立ち入る。「外国人と分かると、顧客に敬遠されるから」。依然として続く、差別や偏見。彼らが「存在」しないような扱いにがくぜんとした。

 この春、受け入れ拡大を決めたのは、介護や建設など重労働の仕事ばかり。日本人のなり手が少ない業種を担ってもらう外国人たちが「存在」を認められる社会であってほしい。

<井上靖史(いのうえ・やすし)(44)> 東京都出身。2001年入社。「税を追う」取材班兼厚生労働省担当。海釣りを始めようと最近、道具セットをネット購入したが、説明書がなく、使い方に苦闘中。

 

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