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【記者たちの胸ポケット】

小さな幸せの重さ/かぼちゃのつる/反省すれども

望月衣塑子(44)社会部記者

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◆小さな幸せの重さ

 駆け出し時代、最初の仕事は事件の遺族取材だった。キャップの指示は「被害者の妹さんのコメントを取ってきて」。憔悴(しょうすい)した様子の妹さんはドア越しに応じてくれた。「今は何も話したくないです」。胸が痛み、言葉が続かなかった。

 キャップに報告すると「被害者の無念を世に伝えるためには、おまえが聞かないと」と諭された。申し訳なさを感じながら、妹さんから話を聞き直した。

 今でも遺族取材はつらい。世間の風当たりも強い。だが、記者の大切な使命だ。故人の生前のエピソードには、家族や友人との「小さな幸せ」がつまっている。

 誰もが身近に感じるささやかな話にこそ、奪われた命の重さを伝える力があると思う。

◆かぼちゃのつる

 ママ友から「とんでもないから読んで」と聞いていた道徳教材が、小学生の娘の教科書にも載っていた。タイトルは「かぼちゃのつる」という。

 「もっと伸びたい」と、思うがままにツルを伸ばしていたかぼちゃ。ある日、隣の畑につながる道にまでツルを伸ばした。すると通りかかったトラックにひかれてツルが切れてしまう、という話だ。

 この話で子どもたちに伝えたいことは何だろう。「わがままな行為をするな」「規律を守らなければしっぺ返しを受ける」だろうか。

 でも、安倍サンが掲げる「一億総活躍社会」って、個性と多様性を尊重する社会ではなかったか。現場の先生がどう教えているのか気になった。

◆反省すれども

 かんぽ生命保険の不正販売を報道したNHKに対し、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の三社長連名で昨年四月に抗議文を送りつけ、番組動画が削除された問題。先ごろあった三社長の記者会見をネット中継で見て、一つの疑問がわいた。

 日本郵政の社長は会見前日に改めて番組を見たといい、不正販売は「今となっては全くその(番組内容の)通り。深く反省している」と述べた。ところが抗議の撤回について言及がない。

 誰も質問しないので日本郵政本社へ向かったが、間に合わなかった。会見場にいた広報担当者に聞くと「撤回しません」。何という矛盾。本当に反省しているのだろうか。

<望月衣塑子(もちづき・いそこ)(44)> 東京都出身。2000年入社。「税を追う」取材班で防衛費などを、遊軍記者として日韓問題やあいちトリエンナーレなどを取材。温泉大好き。地方で少しでも時間があれば温泉を探す。

 

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