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【記者たちの胸ポケット】

残酷なにぎわい/急増の理由は/自由のリスク?

添田隆典(37)生活部記者

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◆残酷なにぎわい

 八月に名古屋から東京に異動してきたが、人の多さに早くもうんざりしている。大学時代も住んでいたが、ここまでひどかっただろうか…。

 東京都の人口は現在、推計約千四百万人。この十年だけで約八十万人も増えたという。どこに行っても混雑するわけだ。

 思えば地方で取材していたころ、どの自治体も「市街地の活性化」を呪文のように唱えていた。ただ、人口流出と減少に歯止めがきかない中、人も金も知恵も絶対的に不足していた。だから、東京の人混みを目にするとどこか残酷な気持ちになる。このにぎわいがピークを迎える来年の五輪を、地方の人はどんな思いで見つめるのだろう。

◆急増の理由は

 八月、思わぬかたちで、ある記事にアクセスが集中した。

 著名人に家族のエピソードを聞くコーナーで、ジャーナリストの津田大介さんを取材した記事だった。子育てサイト「東京すくすく」に掲載したのは五月末。それから二カ月半後にアクセス数が急増し、八月だけで二万回に上った。

 津田さんは芸術監督を務めたあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」を巡る騒動の渦中にあった。ネットで検索すると、記事へのリンクとともに、「反日」など津田さんへの心ない多くの投稿。慰安婦像などの展示が気に入らない人たちが、投稿にあおられアクセスしたようだった。

 ただ、記事は不自由展とは直接関係がない。彼を標的にできるならなんでもよかったというのか。ふざけるなと思った。

◆自由のリスク?

 料理の宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員の取材をしている。都市部で最近よく見かける、緑色のバッグを背負った自転車やバイクのドライバーだ。自由な時間に働けると、副業としても人気を集めている。

 ただ、ばら色の自由、ではない。ある配達員の男性(43)は配達中の事故でけがを負ったが、労災はなし。「彼らは配達を請け負う事業主だ」というウーバー側の姿勢は一見つれない。その代わり、従業員のように勤務時間の縛りがないともいえる。

 一方で「配達中に事故はつきもの」とする配達員の主張もうなずける。働き方が多様化する中で働く人をどう守るのか。取材結果は近く掲載する予定。

<添田隆典(そえだ・たかのり)(37)> 世界遺産の高野山(和歌山県)出身。2007年入社。実家の寺を継がず、記者に。子育てサイト「東京すくすく」、生活面「働く」担当。前の彼女に教わった料理が趣味。

 

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