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【記者たちの胸ポケット】

まちの地力/お手軽海外旅行/サッカーと平和

池田知之(47)桐生通信部

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◆まちの地力

 各地の美術館を相当数訪ねたが、中でも桐生市にある私設の大川美術館は気に入っている。都会の風景や人々を多く描いた洋画家松本竣介(しゅんすけ)(一九一二〜四八年)をはじめ魅力的な作品がそろっているから。今は桐生ゆかりの優れた芸術家に焦点を当てた企画展が開催中。東京五輪の公式ポスターを担当した画家山口晃さんら作家八人の力作が並び、実に眼福だ。

 桐生はかつて繊維産業で栄えたが往年の勢いはない。でも廃業した織物工場を使ったアトリエやしゃれたギャラリーがあり、小さな街でも充実している。

 田中淳館長は「桐生にはアーティストが活躍できる素地がある」と力説する。服飾デザイナーらセンスのある人や受け入れる人もいたからという。土地の歴史に根付いた文化や芸術は強靱(きょうじん)でたやすくさびれないようだ。

◆お手軽海外旅行

 自動車や電機関連の工場が集まる大泉町も担当自治体だ。人口四万二千人のうち二割の八千人が外国籍。ブラジルを筆頭にペルー、ネパールなどの人たちが住む。街ではポルトガル語の看板を掲げた商店やスーパーなどは当たり前の風景。防災訓練でも外国人たちが参加する。

 外国人定住は一九九〇年、入管難民法改正で日系外国人の就労が解禁されて以来。三十年かけて共生をはぐくんできた。

 東京から大泉までは鉄路でわずか二時間。海外旅行気分を楽しみながらぜひ訪れてみては。

◆サッカーと平和

 仏教国ミャンマーで迫害を受け、二〇一七年には国軍治安部隊の討伐作戦で数千人が死亡するなどした、同国のイスラム教徒の少数民族ロヒンギャ。日本在住の三百人のうち、九割の二百六十人が館林市に住む。

 同市の在日ロヒンギャ二世の高校一年水野守さん(16)はロヒンギャや日本人らとサッカーチームをつくり、多数派のビルマ民族などとの試合を重ねる。「サッカーを通じて互いを知り、仲良くできるから」だ。取材した際、ボールを追い掛ける姿を見ていたら胸が熱くなった。

 国際司法裁判所(ICJ)は一月、ミャンマー政府に対し、迫害停止を求める仮処分命令を出したが、同国政府は消極的で、問題の解決は不透明だ。

 ただ彼らの取り組みは尊い。同国政府関係者が注目してくれるのを願いたい。

<いけだ・ともゆき> 静岡県出身。2004年入社。群馬県桐生市の桐生通信部で県南東部を中心に担当。趣味は和装や美術館巡り、ジャズ、落語、ベンチプレス、おいしい店の開拓など。

 

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