東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 私説・論説室から > 記事

ここから本文

【私説・論説室から】

社長になった記者の挑戦

 韓国の放送局大手、MBCの崔承浩(チェスンホ)社長に関する、気になるニュースが相次いでいる。

 崔社長といっても、ピンとこないかもしれない。彼が製作したドキュメンタリー映画「共犯者たち」と「自白」は、昨年日本で公開されて大ヒットし、高く評価された。

 私も見たが、とにかく取材が粘っこい。

 自国の大統領であろうが、政府高官であろうが、マイクを向けて質問攻めにし、その追及の様子をビデオカメラで追い続ける。

 崔さんはもともと、MBCのプロデューサーだった。社会の矛盾をえぐる番組を数々発表してきた実力派だ。

 ところが、時の政権ににらまれて解雇され、募金で運営される「ニュース打破」というネットメディアで記者として再出発した。

 その崔さんが二〇一七年暮れ、MBCの社長となった。人事などを巡り混乱していた社内が落ち着き、請われての就任だった。

 追い出された社員が、社長で返り咲くというのも、ダイナミックな韓国らしい。

 肝心のMBCは、一八年に千二百億ウォン(約百二十億円)という巨大な赤字を出し、看板だったドラマも視聴率の不振にあえいでいる。

 しかし、崔さんは前進を止めない。夕方の報道番組の時間を拡大。さらに番組制作費も大幅に追加するという。いかにも彼らしい挑戦だ。いつか、一部始終をドキュメンタリー映画として公開してほしい。 (五味洋治)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報