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【私説・論説室から】

畑で聞く声

 週末、人の畑のお手伝いに行くことがある。フェイスブックで募集を見て面白そうなところに出掛けていくのだ。

 茨城県常陸太田市では、ワイナリーを作ることを夢見て、ブドウの苗を植えている人がいる。軍手を着けて畑に出ると、カエルの背中が春の日差しに照らされ、ぼやっと光っていた。テントウムシもミミズも久々に見た。

 最近は定年後にワイナリーを始めたいと思っている人も増えているそうで、苗を買うのも品種によっては三年待ちになってしまう場合もあるという。気の長い取り組みだ。

 東京都檜原村では、地域おこし協力隊などで村外から移住した若者たちが季節おりおりのイベントを企画している。先日、山菜採りと畑の種まきに参加した。隣の畑には麦が植えられていた。プラスチックストローを廃止する動きが広がっていることから、麦から作って特産品にできないかと考えたという。

 この日は村議選の選挙戦の最終日だったので候補者たちがあいさつに回っていた。四十代で、地元でおいしいと評判のイタリア料理店のシェフもいた。さんざん悩んだ末の決断だったという。後日、結果を見ると当選していた。全国でなり手不足が問題となる中、東京の村ではそんな新風も吹いていた。

 不透明ではあるけれど未来はそんなに悪くないんじゃないか。畑で聞く声は、そう私に教えてくれている気がする。 (早川由紀美)

 

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