東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 私説・論説室から > 記事

ここから本文

【私説・論説室から】

プエルトリコへの冷血

 カリブ海に浮かぶプエルトリコは米国の自治領ながら、ラテン世界に覇を唱えたスペインの文化が色濃く残る。首都サンフアンは豪華客船が寄港する観光地だ。

 一九七二年に日本赤軍が起こしたテルアビブ空港乱射事件では、聖地巡礼に訪れたプエルトリコ人十七人が犠牲になった。

 そんなプエルトリコを大型ハリケーン「マリア」が直撃したのは二年前。壊滅的な被害を受け、自治政府によると人口三百五十万のうち三千人近くが命を落とした。

 復興途上にあるのだが、米議会では共和、民主両党による政争にもみくちゃにされ、復興予算審議が難航している。

 これにかみついたのがトランプ大統領。プエルトリコにはほかの被災地よりもはるかに多い九百十億ドル(約十兆百億円)の復興費を支出済みだ、として「プエルトリコはとてもハッピーのはずだ」とツイッターに書き込んだ。ところが複数の米メディアによれば、実際に支出されたのは百十億ドルという。

 トランプ氏は死者数についても「三千人も死んでいない」とツイートし、地元の怒りを買ったこともある。フェイク(偽り)をまき散らす性癖は相変わらずだ。

 プエルトリコ市民には大統領選の投票権がない。再選を最大目標とするトランプ氏のプエルトリコへの冷血ぶりは、これが理由ではないか、と勘繰りたくなる。 (青木 睦)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報