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【私説・論説室から】

国難突破どこ吹く風

 初夏の風が頬に心地よいと感じていたのもつかの間、国会周辺から生臭い風が吹き始めた。衆院の「解散風」である。

 今年は三年に一度、半数が改選される参院選の年だ。衆院議員任期は二年以上残っており、通常なら参院選だけ行われるが、六年前の参院選で大勝した自民党は今回、議席を減らす可能性が高い。ならば衆院も解散してダブル選挙の相乗効果で議席を増やそうというのが解散風の正体だ。自民党が圧勝した過去二回の再現をもくろんでいるのだろう。

 とはいえ、二年前の衆院解散時、安倍晋三首相が少子高齢化と北朝鮮情勢を「国難」と称し、それを突破する「国難突破解散」と言ったことを不問に付すわけにはいかない。

 今年十月の消費税率10%への引き上げで増える財源の使途を一部、国の借金返済から、教育・子育て支援に変更したり、北朝鮮に対して「力強い外交を進める」ためには、国民の信を得る必要がある、という理屈だった。

 今回、消費税増税の延期をダブル選挙の大義に掲げるなら二年前の公約は無意味になるし、力強い外交の結末が前提条件なしの日朝首脳会談実現だとしたら国民への裏切りだ。

 当初から疑義があった「国難突破」を解散の大義にしたこと自体、そもそも誤りだったのではないか。だとしたら、首相がすべきは衆参ダブル選挙で国民に信を問うことではなく、自ら職を辞することである。(豊田洋一)

 

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