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【私説・論説室から】

「護送船団」の幻影

 「副作用」。追加金融緩和の可能性を示唆した記者会見で日銀の黒田東彦総裁が使った言葉だ。その意味が苦境にあえぐ地方銀行への悪影響を指すことはいうまでもない。

 今年三月期決算では東京証券取引所などに上場する七十八の地銀のうち約七割は赤字あるいは減益。さらに日銀は四月、十年後に地銀の58%が赤字になるとの試算を出した。

 地銀関係者は「これだけ超低金利が続けば赤字は当然」と嘆く。日銀の大規模金融緩和策が原因で金を貸して利ざやを稼ぐ基本的な業務がほぼ不可能になったという訴えだ。

 だが赤字の原因は低金利だけか。メガバンクと地域に密着する信金・信組の板挟みになっている地銀の将来については、大規模緩和前から不安視する声が多かった。経営統合を加速させよとの意見は常識化していた。

 これに対し地銀側の動きは鈍かった。その過程を振り返りながら「護送船団方式」という懐かしい言葉を思い出した。

 かつて銀行は大小にかかわらず旧大蔵省が徹底的に面倒をみていた。だがバブル崩壊後その「船団」は解体したはずだ。

 今、経営統合に積極的なのは当事者の地銀というより国の方だ。一方、地銀側は国の指導を待っているようにもみえる。地銀が今も船団の幻影を追いかけ、「いずれ国が助けてくれる」と思っているなら、日銀の試算は現実になるだろう。 (富田光)

 

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