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【私説・論説室から】

バッハ君の歌

 鳥の声に起こされることが増えた。春夏は繁殖期のため、オスは縄張りを主張したり、求愛したりするためにぎやかになるらしい。

 とくに印象的な一羽がいる。ヒヨドリではないかと思うのだが姿は確認できていない。彼の歌の主題はこんな感じ。

 ♪ソ、シラ、シシシシシシ…。

 朝の四時前から歌い始め、変奏したり、間奏を挟んだりもする。バロック音楽のようにも聞こえるので彼をバッハ君と呼んでいる。

 鳥が朝早くから鳴くのは自分の声を一番良い状態で聞いてもらいたいからだという説もある。日が高くなると地面が温められ空気の流れが生まれる。その影響を避けるためという。本当にそうなら、けなげではないか。

 多彩な旋律を聞いていると、本能だけではなく、音楽活動として楽しんでいるのではないかという気もしてくる。モーツァルトは市場で買ったムクドリをかわいがり、葬式も開いたという。音楽仲間として付き合っていたのかもしれない。

 耳の意識が変わるとあちこちから鳥の歌が聞こえてくるようになり街をより立体的に感じる。バッハ君のおかげだ。すてきな彼女は見つかっただろうか。彼も幸せな時間を過ごしていることを願っている。 (早川由紀美)

 

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