東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 私説・論説室から > 記事

ここから本文

【私説・論説室から】

息子の手を握る

 ゲームに熱中し、日常生活に支障を来すゲーム障害。その深刻な実態を取材した。

 中学三年の息子が不登校に陥っている大原みゆきさん(50)=仮名。「ゲームに触ったら殺す」「うざい、くそばばあ」。わが子の暴言や暴力に涙するつらい体験を、連載「心を取り戻せ」に書かせてもらった。

 後日談がある。

 六月十八日深夜、新潟で震度6強を観測した地震が、みゆきさんの住む街も襲った。緊急地震速報のアラームが鳴り、息子の部屋へ駆け込んだ。「地震が来るよ!」。ゲーム機を置いた机の下に二人で潜り込んだ。

 気が付くと、息子の手を握っていた。「この子に触れるのは、いつ以来だろう…」。東日本大震災の時、覆いかぶさって守ったことも思い出した。

 揺れが収まると、息子は「手を離して」とそっけなかったが、みゆきさんは「息子への憎しみが消え、母としての感情がよみがえりました」と語る。そして治療に向け、家族関係から見つめ直す病院のカウンセリングに足が向いたという。

 調査によると、インターネット依存の中高生は推計九十万人超。問題を抱え込み、孤立する家庭が多い中、医療機関や患者の家族会などとつながりを持つことが大切だ。「親心」を取り戻し、一歩踏み出したみゆきさんに声援を送りたい。 (臼井康兆)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報