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【私説・論説室から】

支える裾野にも目配りを

 地方大会が始まり、高校野球シーズンを迎えた。参加は東東京百四十校、西東京百三十一校と東京だけで計二百七十一校に上る。選手、指導者、応援団、親など膨大な人数が動く。スター選手に目が行きがちだが、広い裾野に支えられていると改めて思う。

 身近に高校球児がいる。部員が少ない弱小校なのが逆に幸いして、レギュラーになることができたという。しかし、百人近くの部員を抱える強豪校などでは、二十人のベンチ入り枠に入るのは至難の業だ。厳しい練習に耐えてきたにもかかわらず、入れなかった選手らは、応援や裏方に回る。

 親の仕事も多い。応援の客席確保や飲み物の用意、熱中症対策のための氷やタオルの準備などに追われ、観戦している余裕もない。

 根性や奉仕を美徳とした昭和の残り香かもしれないが、縁の下の力持ちが多すぎる。

 もっと個々人を大切にしようという動きも出てきている。投手の酷使を防ぐ球数制限の具体的な議論が始まった。丸刈りを強制しない学校も増えている。プロ野球横浜DeNAベイスターズの主軸筒香嘉智選手が、勝利至上主義を改め、親の負担も減らすよう、現役選手としては異例の提言をしている。高校野球も新しい令和の時代にふさわしく、変わっていくかもしれない。

 今年は、日の当たらない裾野にも目配りしながら、観戦を楽しみたい。 (熊倉逸男)

 

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