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【私説・論説室から】

広がれ 手話のリレー

 夏の旅行客でごった返す羽田空港に、初めて見る電話ボックスがあった。「手話フォン」という。

 聴覚障害者の手話をテレビ電話で通訳オペレーターが受け、通常の電話で相手に伝えてくれる。日本財団が運営する「電話リレーサービス」だった。

 パソコンやスマホからでも、テレビ電話機能を備えた専用サイトにつなげば利用でき、原則無料。利用登録者は一万人を超え、月間の通話は三万件にもなるそうだ。

 六年前に財団が始めたこの仕組み。欧米など二十五カ国には公共サービスがある。わが国は二年後の整備へ向けて政府が動きだしたところ。障害者軽視の典型である。

 千葉県の森壮也さん(57)にお願いし、筆者の携帯に電話をかけてもらった。出ると、初めに通訳オペレーターが「耳の聞こえない方からの電話です」と教えてくれた。

 「今までは電話を代行してくれる人を探さないといけなかった。妻も聾(ろう)者なので家ではお手上げでした」と森さん。「サービスのおかげで仕事の範囲も広がり、社会と正当に結び付いていると感じます」

 苦言もあった。「レストランの予約を、本人ではないからと断られました」

 多くの人がサービスの存在を知ることが、電話のバリアフリーを進める力になるのではないだろうか。 (臼井康兆)

 

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