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【私説・論説室から】

狙われたグリーンランド

 クリミア戦争で英国やフランスなどと戦火を交えた帝政ロシアにとって、植民地のアラスカ防衛は重荷になっていた。現地で国策会社の露米会社が従事する毛皮交易も業績はパッとしなかった。

 そこで、関係の良かった米国に七百二十万ドルでアラスカを売却した。今から約百五十年前の一八六七年のことだ。

 この取引、米国では不評を買った。交渉に当たったスワード国務長官をやゆして「アラスカはスワードの冷蔵庫だ」と散々だった。ところが購入からまもなくアラスカはゴールドラッシュに沸くことになる。

 実は取引成立と同じ時期に、米国はデンマーク領グリーンランドにも触手を伸ばしていた。その約八十年後の第二次大戦直後にも、トルーマン政権が買収を計画した。

 そしてまた、トランプ大統領が買いたいと言い出した。「グリーンランドは戦略的に米国にとって素晴らしい」とべた褒めし「本質的には、これはデカい不動産取引だ」と強調した。まるで本業の不動産業に戻ったかのようだ。

 売り物扱いされたデンマーク側は「ばかげている」(フレデリクセン首相)と猛反発。この発言に「むかつく」と怒ったトランプ氏は、九月に予定していたデンマーク訪問を取りやめたが、どちらがむかつくほど無礼なのかは言うまでもない。 (青木 睦)

 

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