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【私説・論説室から】

プロ野球OBの戸惑い

 プロ野球のOBらと私的に酒を酌み交わしたりしていると、最近はこのような相談をされることがある。

 「高校野球の投手の問題について、俺たちは取材を受けたらどう答えればいいのかな」

 二十二日に閉幕した全国高校野球選手権は、岩手大会決勝で大船渡高の163キロ右腕・佐々木朗希投手が故障を防ぐため登板回避して波紋を呼ぶなど、投手の酷使の問題が注目された。「投球数制限を設けるべき」「いや、そうしたら公立校などはますます不利になる」などの議論が繰り広げられている。

 このような風潮に、プロの世界で投手として活躍したOBには戸惑いを隠せない人も多い。彼らは「高校時代の連投による疲労などで追い詰められた中で、肩やひじに負担がかからない投げ方や投球術を研究し、精神的にも強くなってプロに入って生きた」と言う。

 確かに投手はそれぞれ違う。故障しやすい投球フォームと、しにくいフォーム。速球派と軟投派。ピンチの時以外は全力投球を避けて打ち取る技術を持つ投手もいる。これらを「投手」という一つの枠でくくってしまうことは、自分たちの努力や人生そのものが否定された気持ちになるのかもしれない。

 野球の歴史を築いてきた彼らの思いを「時代が違う」だけで追いやりたくはない。その気持ちもくんだ上で、高校野球が抱える問題への議論を深めていきたい。 (鈴木遍理)

 

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