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【私説・論説室から】

公的年金は損か得か

 公的年金は結局、損ではないのかと人からしばしば聞かれる。保険料負担に見合う年金は受け取れないと思うようだ。

 結論を言うと、長生きすればそれだけ多く受け取れますと答えている。年金額は一年間の受給額だけではなく、何年間受け取るのかで違ってくる。だが、自分の寿命は分からない。それが「老い」のリスクであり、それを支える制度が公的年金である。

 厚生労働省が八月に公表した厚生年金の財政検証結果に興味深い試算がある。

 今の六十五歳と同じ給付水準を今二十歳の人が将来受け取るには、受給開始を六十五歳から何年遅らせる必要があるかを示した。

 働いて保険料を払う期間が四十年から少し延びる負担増が前提にはなるが、六十六歳九カ月から受給すると同じ水準になる。

 生涯の受給期間がその分短くなるわけではない。日本人は長寿化している。平均受給期間は今二十歳の人が逆に一年余り長くなる。

 ただ、これは経済成長が前提だ。低成長ならもっと受給開始を遅らせないと同水準にならないが、将来は誰にも分からない。そもそも年金は助け合いの「共助」の仕組みだ。だから損得で語ることに抵抗を感じてしまう。

 日本年金機構から毎年、誕生月に「ねんきん定期便」が届く。それでおおよその受給額が分かる。年金制度は複雑だが、将来の年金生活を考える手がかりはある。 (鈴木 穣)

 

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