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【私説・論説室から】

米軍による土砂移転の謎

 埼玉県所沢市にある米軍施設の所沢通信基地へ東京の横田基地から大量の土砂が運び込まれた。七月まで連日、百台の大型ダンプが市街地を通って運び続け、基地の南側に積み上げられた土砂は高さ二メートルに達した。

 所沢通信基地は市の中心部に位置し、面積九十七ヘクタールと広大だ。地元からの再三の基地返還要求に対し、在日米軍は土砂搬入による基地利用の既成事実化で答えたといえる。

 今回の作業が異例なのは、提供された施設の整備を防衛省に委ねてきた米軍が民間業者を雇い、自費で行った点にある。

 所沢市への米軍担当者の説明によると、滑走路外周道路の工事に伴って出た土砂の移転だという。「汚染土の搬出では」との疑念には、搬出する土砂そのものは調べず、周辺を調べて汚染物質は出なかったとしている。

 日本側は確認したのだろうか。国民民主党の屋良朝博衆院議員の質問主意書に対し、政府は「本件土砂の汚染は確認されなかったとのことである」と答え、まるで人ごとだ。

 横田基地では二〇一七年までの八年間に日本側に知らされていないジェット燃料などの流出事故が少なくとも百三十一件発生したことが報道で明らかになっている。

 米軍担当者は土砂搬入が「米政府の逆鱗(げきりん)に触れてしまったので今回限り」と所沢市に伝えている。なぜ米政府は怒ったのか。防衛省は案件の全容を解明するべきだ。(半田滋)

 

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