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【私説・論説室から】

カナダ代表に心から感謝

 ラグビーのワールドカップ(W杯)で来日していたカナダ代表の選手たちが、台風19号の被害に遭った岩手県釜石市で清掃活動を行ったことに話題が集まっている。

 カナダだけではなく、今大会では日本各地でキャンプを張る各国代表チームがイネの収穫を手伝ったり、子供たちとの触れ合いを買って出たりするなど、地域と触れ合うラガーマンたちへの称賛が相次いでいる。

 なぜ? 彼らは試合のために日本に来たのではないのか? 国費や協賛金をつぎ込まれ、ラグビーを二十四時間考えるべき立場ではないのか? このような疑問がわいてきても、不思議ではない。

 ただ、彼らの行動こそがスポーツの本質ではないか。世界最強のニュージーランド代表オールブラックスは、試合前に行うマオリ民族の舞踊「ハカ」の歌詞などを二〇〇五年に変えた。新たな歌詞ではオールブラックスの存在意義や、自分たちは何をなすべきかを問い、試合に勝つだけではなく母国の自然や人の素晴らしさを世界各地に広げ、模範的な行いを心掛ける意味も含んでいるという。

 スポーツは国境や言葉を超える。だからこそトップに立つ選手は、スポーツを通じて学んだことを伝える発信者であるべきだ。そのような選手たちを見られただけでも、日本でW杯を開催した価値はあった。カナダ代表には心から感謝したい。 (鈴木遍理)

 

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