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【私説・論説室から】

「100円札」の重み

 消費税率が10%となって二カ月半。小売店でのキャッシュレス払いによるポイント還元も、消費者に浸透してきたころだろうか。

 しかし、気が付けば、わがスマホの中には「○○ペイ」「○払い」などのアプリが八種類もひしめき合う。「20%独自還元」など、決済各社による当初の過激キャンペーンにつられて増えていった。こうなると、どこにどれだけ残高やポイントがあるか分からない。財布よりスマホをなくす方がはるかに怖い。そもそも、5%までの還元は税金を使って行われている。喜んでばかりでは情けない。

 税負担の還元は一日当たり約十二億円に上り、来年六月の制度終了までには三千億円超が投入される見込みという。仮に、これを機に諸外国並みにキャッシュレス化が進むとしよう。それで万々歳か。大人でもスマホやカードで買い物をしていると出費感覚が鈍り、コンビニなどで細かな無駄遣いをしてしまいがち。子どもたちはカネの価値をどう学ぶ。もうすぐ正月だが、孫へのお年玉もスマホ送金で「ピッ」とやるようになったら、とてもありがたみを感じてもらえるとは思えない。

 昭和三十年代、日々の小遣いとして親から渡される十円玉を握り締めて駄菓子屋に通った。使い道はその都度散々悩んだ。たまの手伝いの駄賃に、祖父からもらったのは百円札。しわくちゃだったが、肖像画の板垣退助さんはとびきり輝いていた。 (白鳥龍也)

 

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