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【私説・論説室から】

土佐町議会からの一石

 全小中学校で実施されている全国学力テストを抽出式に変更するよう求める意見書を昨年十二月、高知県土佐町議会が可決した。

 意見書では約七割の都道府県が独自の学力調査を実施するなど、子どもたちがテスト漬けの状態だと指摘。教員の過重労働や教員不足に言及したうえで、毎年巨額の費用を投じて民間企業に採点を委託し、全校調査をすることへの疑問を投げかけている。

 提案者の一人、鈴木大裕町議は米国の大学や大学院で学んだ後、六年半、千葉市の公立中学校で英語を教えた経験を持つ。再渡米し、大学院で米国の公教育「改革」を研究していく中で負の側面に気が付いた。

 著書「崩壊するアメリカの公教育」(岩波書店)には共通テストの点数で生徒や教員が徹底管理され、貧困地区に多い底辺校は淘汰(とうた)される現実が描かれる。テストの運営を請け負っているのは民間の出版社だ。政治家に精力的なロビー活動を行い、テストを請け負うことで自社の教材の需要も拡大させる。あれ、日本でも同じような話を聞いたような…。

 米国では二〇一〇年代に入り、テスト至上主義に親や教員組合などから疑問の声が上がるなど揺り戻しの動きもあるという。子どもたちのため、税金や先生の時間はどのように使われるのが望ましいのか。土佐町の意見書が一石となり、議論の輪が広がることを期待したい。 (早川由紀美)

 

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