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【私説・論説室から】

定義を変えてしまっては

 「反社の定義は定まっていない」−官房長官がこんな発言をし、それをなぞる政府答弁書が出たとき、またも!の思いだった。「反社」とはむろん「反社会的勢力」の略語として通っている。

 「桜を見る会に『反社』の人を招いていたのでは」との疑惑が出たから、乗り切るために、あえて「定義」をぐらつかせたとしか思えない。言い逃れとしても、もはや滑稽に思える世界である。そんな首相答弁や政府答弁書ばかりが続いていたから…。

 二年ほど前だったか。エンゲル係数論争があった。野党議員がエンゲル係数のデータを示して、「国民生活は悪くなっている」と迫った。ところが、何と首相は「物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれている」と反論した。

 もちろん、この係数は中学校で習うほどポピュラーな経済指標である。消費のうち食料費の支出の割合を示すから、値が高いほど生活水準は低いと説明される。

 驚いたのは、この議論の直後からインターネット百科事典「ウィキペディア」で、この項目が凍結状態となったことだ。書き込み合戦もあった。首相答弁に合わせた内容に改変されたりしたのである。

 侵略戦争の定義、立憲主義の定義にも異論をはさみ、ゆがめたのでは…。もう、むちゃくちゃ、の感じ。 (桐山桂一)

 

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