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【私説・論説室から】

ジョニーのパラリンピック

 ジョニーから突然に電話がかかってきた。

 「東京パラリンピックの開会式、閉会式の出演キャストに応募しました。何とかオーディションを通りたい。そう願っています」

 仲間内からジョニーと呼ばれる香介さんは、滋賀県出身の三十五歳。緑内障のため八歳で失明し、十五歳の時に同じ盲目でリズム・アンド・ブルースの大御所レイ・チャールズの音楽に感動し、ピアノを独学で学んだ。今は都内各地のライブハウスなどで活動しながら、障害があるアスリートたちを自分の音楽で後押ししたいという思いからパラリンピック三部作と名付ける曲も発表している。

 その中の一曲「永遠の扉」は、パラ競泳の日本のエース、木村敬一選手(29)を意識して作った。かつて全寮制の滋賀県立盲学校で共に学び、暮らした木村選手との思い出を「いつも僕がピアノを弾いている横で遊んでいて、よくボールが飛んできたりした」と懐かしそうに話すジョニーは、前回のリオ大会で木村選手が金メダルを期待されながら銀と銅二個ずつだった無念の思いも知っている。

 開閉会式に出演するオリジナルキャストの一般公募は、一次審査で「志望動機」「二〇二〇年以降どのような活動を行っていきたいか」を各二千字以内で提出することも課されていた。音声で文字入力し、漢字などを家族らに添削してもらうことを繰り返したジョニーの奮闘が目に浮かぶ。 (鈴木遍理)

 

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