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【私説・論説室から】

中央アジアの不安定要因

 旧ソ連領の中央アジアのフェルガナ盆地は風光明媚(ふうこうめいび)なオアシスだ。中央アジアを征服した帝政ロシア軍はフェルガナを「眠れる美女」と絶賛した。

 そのフェルガナの一角を占めるキルギス南部のバトケン州で昨年来、タジキスタンとの国境紛争が再燃した。住民による衝突が十回以上起き数十人の死傷者が出ている。

 両国の国境は千キロ弱で、うち半分ほどしか画定していない。しかも互いに相手側の領土に飛び地を有する。そんな複雑な事情から、土地や水資源をめぐる争いが絶えない。

 実はフェルガナはキルギス、タジク、ウズベキスタンの三カ国にまたがり、民族問題を抱える潜在的な紛争地でもある。一九八九年にトルコ系の少数民族をウズベク人が襲撃した「フェルガナ事件」、翌九〇年にキルギス人とウズベク人の衝突で六百人以上が死亡したともいわれる「オシ事件」が続けて起き、二〇一〇年にも「オシ事件」を再現したかのような両民族の大規模な衝突が起きた。

 一方、フェルガナとは別に、カザフスタン南部でもこの二月、カザフ人と中国系少数民族のドゥンガン人が衝突した。

 中央アジア諸国で足並みをそろえて懸案に取り組むことには日本も後押しをしており、地域協力の機運は高まってはいる。それでも民族間の対立を乗り越えるのは容易なことではない。 (青木 睦)

 

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