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【私説・論説室から】

選手の辛さはいかほどか

 新聞記者を続けていれば、ニュースを他紙に先駆けて報じられた苦い経験は誰にでもある。ただ、それに匹敵する辛(つら)い思いもある。用意していた原稿が社会状況の急速な変化などで掲載のタイミングがずれるなどして、ボツになってしまうことだ。

 仕方がないこととはいえ、その原稿には長年の取材の積み重ねや、資料などを調べ尽くした準備、細部にわたるチェックの繰り返しなどが詰め込まれている。

 そのようなことを考えながら、今のアスリートたちの思いに心を寄せてみる。二〇一三年九月に七年後の東京五輪開催が決まってから、五輪を目指す選手たちは一六年リオデジャネイロ大会を挟んで肉体的にも技術的にも二〇年東京の夏に照準を合わせて調整を重ね、過酷なトレーニングにも耐えてきた。

 それらの準備がどれほど大切かは、昨年に日本で開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)を思い返せば分かる。日本代表チームは一五年イングランド大会を終えてから四年計画を立てて本番にピークを合わせ、初のベスト8進出を成し遂げた。

 東京五輪の延期が決まった。プロ野球など他のスポーツも延期や中止、リーグ中断なども相次ぐ。これらを受け止めて気持ちを再度奮い立たせ、前進しなければならない選手たちの辛さはいかほどか。それを思うと、あらためて心が痛む。 (鈴木遍理)

 

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