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【私説・論説室から】

ジェット機騒音の下で

 三十九階建てタワーマンションをかすめるように降下する機影。近い、大きい!

 到着機の都心通過などに反対が残る羽田空港新飛行経路の運用がきのうから始まった。風向きの影響で初日の新着陸経路の飛行は見送られたが、忘れられないのは二月、試験飛行が行われた際の衝撃だ。拙宅があるのは新着陸経路の二百メートル西。ギィーン、ゴゴゴ…。室内に響くジェット音に気付き外に出ると、着陸体勢にある機体は瞬く間に空港方面の地平に消えていった。今後は南風時の夕刻、最多で約四分おきにこの光景が繰り返される。

 急降下に見えた原因は世界の主要空港では希(まれ)な降下角度にある。国は騒音対策として通常の三・〇度を三・四五度に引き上げた。航空各社の協会などが操縦が難しいと見直しを求め、国も降下途中から三・〇度への変更を認めるなど混乱を招いている。騒音低減効果も疑問で事故の方がはるかに心配な状況だ。

 国は関係地区で説明会を重ねてきたが、実機試験は運用開始直前。騒音や威圧感への実際の住民の意見は聞き入れられていない。

 新経路は国際線増便のためというものの、あにはからんや「コロナ禍」の影響で世界的に航空需要が急減している。この際、もう少し慎重に導入を検討したらどうなのか。今のままでは、国策遂行の前に結局、住民の懸念は置き去り。安倍長期政権特有の政治風景がまた繰り返される…。 (白鳥龍也)

 

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