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【経済Q&A】

<体験編>激安『タカハシ』の謎  倉庫に眠る商品 発掘

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 社員の給料まで心配する読者の情報を受け、“タカハシの謎”を解明すべく、東京のベッドタウンである神奈川県相模原市に向かった。本社に隣接する店舗の屋外のワゴンに山と積まれた衣料品。こんな値札が目に飛び込んできた。

 「女性用パンツ(ズボン)5本 10円」−。予想以上の激安ぶり。ほかも「ジーンズ500円」「Tシャツ100円」など大半が五百円以下。全般にファッショナブルとはいえず、価格相応の物もあるが、普段着としては十分な水準だ。棚から商品がはみ出るなど雑然とした店内は、平日の夕方なのにサラリーマンや主婦でいっぱい。レジ前には長い行列。

 「なぜこんなに安くできるのですか」という単刀直入の問いに、高橋千佳司社長(35)が「利益はちゃんと上がっていますよ」と笑いながら答えてくれた。

 中国製品が中心なのは他店と一緒だが、独特なのは仕入れ方法。大手スーパーやアパレル業者は半年ほど前に卸売業者に商品を発注する。しかし、天候や売れ筋の読み違いで、発注分の代金を支払いながらも、在庫を抱えるため、全部は引き取らないこともある。タカハシはこうした卸売業者の倉庫に眠っている商品を「破格値で仕入れる」という。

 店の運営も人件費を抑えるため、最低限の人員しか配置しない。「商品の整理も一日一回やれば十分」。あまり整頓されていない雑然ぶりにも計算があった。

 情報収集も重視。競合店の価格を担当者がチェック、自社が高ければ、すぐ「地域最安値」に張り替える。

激安衣料品が並ぶ店内=神奈川県相模原市で

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 それにしても「ズボン5本10円」って一体…。こうした超安値品は、売れ残りを思い切って値下げした結果だ。採算割れの商品もむろんある。だが、売れない商品をずっと並べておくより「早く売り切って商品を入れ替えた方が客は飽きないし、売り上げ増につながる」という。

 同社は戦後、相模原市内の小さな洋品店として出発。価格競争の厳しさを実感した二代目が格安店に転換、現社長が同市を中心に東京、埼玉で十五店舗まで拡大。昨年九月のリーマン・ショック以降は他県からの問い合わせも増え、高橋社長は「激安を求めるお客さんは増えている」と語る。デフレを追い風に今年はさらに二店舗を新設する。

 「九百円台ジーンズ」のファーストリテイリングはアジアの委託工場で生産、卸売業者を“中抜き”する戦略をとる。これに対し高橋社長は「中小企業のウチはユニクロのように生産までかかわるのはムリ」と言いながらも「ウチ流の方法で勝ち抜く」とやる気満々。

 <ユニクロやH&Mで見て…にたよーなデザインをタカハシで探す!>。金井さんはつづる。

 景気回復の兆しをよそに、給与や雇用カットで消費者の節約意識は高まるばかり。東京郊外の「激安戦争」はとどまるところなく続きそうだ。 (坂田奈央)

 

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